平成十四年三月のこと
クアラルンプール空港から関空へ。
飛行機は、超近代的なビルから離れ、ゆっくりと離陸地点へと向かって、大きな翼をもてあますように移動していく。小さな窓から外を見ると、左手に照明灯の明かりが点々と数キロ先まで続いているのが、暗闇の中に浮かんでいる。おそらくあの照明灯の列に沿って離陸していくのだろう。
その出発点に向かって、ゴトゴトと音を立てながら、機体は大きく左にカーブを描いた。すると、ジェットエンジンに点火され、私たちの体は強い力でシートに押しつけられた。
睡眠不足の日々を送ってきたし、疲れを感じているので、すぐにも眠りに就くことができると予想していた。しかし、エアコンの冷房が、今度は私にはひどくこたえるものだった。パーサーに頼んで毛布をもう一枚もってきてもらって、それを体中に巻き付けてシートを倒してウトウトとした。
アイ・マスクをつけてはいたが、頭が興奮しているのか、眠りに就くどころか、旅行の最初の出だし、三月七日の朝の出来事から、次々にこの七日間の出来事が展開していく。それらを、順を追って頭の中に蘇らせていく・・・
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- 2010/07/24(土) 05:18:37|
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